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社団法人 日本能率協会
日本能率協会様のご協力により、E-LINKから技術者の皆さんに役立つ「セミナー」を提案しています。
20代技術者の肖像 vol.03 やりたいことは自分で見つける。見つけたことはやり遂げる。 株式会社クリアテック 金型の検査・研磨担当 今嶋麻美さん(21歳)


世界初で開発に成功した冷間鍛造ヘリカルギア。この技術は自動車などに使用される特殊歯車の製造方法を根本的に変える可能性を持つ。環境負荷低減とコストダウンを同時に実現。



同社には管理職が存在しない。「責任ある自由」を合言葉に技術者たちがものづくりに励む。今嶋さんはそんな先輩技術者の姿から日々刺激を受けている。



会社見学の際、社員全員の机に置かれる名札。「質問しやすい環境を」という発想から生まれたこのアイデアは、一昨年、自分たちが会社見学をした実際の体験から、新入社員が提案。
 進路を考え始めた高校2年生のとき。父親が心筋梗塞で倒れ、他界した。大学に行こうかとも考えていたけれど、高校を卒業したら就職しようと心に決めた。「高校を出て働けば、お母さんを楽にしてあげられる」。

 高校3年生の夏休み。今嶋さんは初めての就職活動をした。いくつかの会社を見学して歩いた。もっとも印象に残った会社がクリアテックだった。「工場は独特の匂いがするのだろう」「汚れた場所に違いない」。実際にクリアテックの工場に足を踏み入れてみて、それが自分の思い込みだということがよくわかった。

 工場はきれいだったし、設備や道具も整理整頓されていて、意外なほどにスッキリしていた。そして何より、社長のひと言は強く心に響いた。「この会社の社風は“責任ある自由"です」。学生時代の校則にはウンザリしていた。“そこまで言われなくてもわかってる"と、いつも思っていた。

 自由に自分が思うように仕事をする。自由には責任がついてくる。自由だけれど、失敗したこと、やれなかったことの責任はちゃんと自分で負って、次は絶対に失敗しないよう精一杯の努力していく。学校は、子ども扱いだからルールで縛るのだ。だから、社長の言葉にとても「大人」を感じた。

 入社してから任されているのは、金型の検査と研磨だ。数種類もの測定器を組み合わせて、金型の制度をチェックする。わずかでも不備があれば、リューターを使って研磨する。製品の仕上がりを左右する金型の最終工程を任されているのだから、気を遣う。目も疲れる。

 でも、仕事は、やればやるほど面白くなってくるのだから不思議だ。「この機器とあの機器を組み合わせたら、もっとうまくやれるかもしれない」。入社して3年たった今、研磨にかける時間も少しずつ短くなってきた。隣りにある鍛造工場にも興味がある。何も形のないところから、どんな機械を使って、どのような加工をしてモノは作られてくるのか。ちゃんと勉強してみたいし、自分でも機械を動かしてみたいし、そういうモノづくりに関わってみたい。

 責任ある自由。自由とは「自分で見つけていける」こと。責任とは「見つけたことはやり遂げる」こと。これからも好奇心を持って仕事をして、新しい発見をたくさんして、実際にチャレンジしてみて、仕事の幅を広げていきたいと思う。

 初めてのお給料で、母を浜名湖の温泉に連れていってあげた。天国のお父さん、麻美さんは楽しそうに毎日を過ごしているし、本当に頑張っていますよ。

会社概要

株式会社クリアテック
〒438−0201 静岡県磐田市竜洋中島1512
事業内容/冷間・温間鍛造金型の設計・製作・販売
従業員数/30名 創業/1986年