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20代技術者の肖像 vol.05 湯たんぽを通して、家族の温かさと幸せを。 タンゲ化学工業株式会社 製造担当 石川利徳さん(21歳)


新商品「立つ湯たんぽ」シリーズの「ドコデモゆたんぽ」は、側面の曲面部分が特徴。腰やヒザなど体のどの部分にもフィットし暖めてくれる。



湯たんぽの断面。湯の“注ぎ口”に同社の技術が宿る。お湯が漏れにくい丈夫な構造になっている。



「受験生ゆたんぽ」は足元に置いて使う。暖かいだけでなく、突起物が足裏を刺激し頭の中もすっきり。
 石川さんは、小学生の頃から大工にあこがれていた。家族が集まる家をつくることは、家族みんなの幸せをつくるということ。そんな大工の仕事が、とてもカッコよく思えた。

 高校を卒業してからは、テレビを組み立てるライン作業に就いた。ものづくりが大好きだから、仕事も楽しかった。でも、もっといろいろな仕事に挑戦してみたかった。できれば、かつて大工にあこがれを抱いていたように、たくさんの人を幸せづくりに貢献できる、そんな仕事がしたいと思った。

 そんな時に、たまたま出会ったのが「湯たんぽ」をつくる仕事だった。湯たんぽは、とても小さな製品で、昔ながらのものかもしれないけれど、人の身体を温めてあげることができる。湯たんぽを抱いて布団にもぐりこんだ人たちは、きっと幸せを実感して眠りにつけるんじゃないか。そんな気がした。

 タンゲ化学工業に入社したのは2年前のことだ。今、石川さんは湯たんぽ製造ラインで、表面を磨く仕上げ工程を担当している。表面のざらつきをキレイに磨き、つるつるの表面に仕上げていく。湯たんぽづくりの最後を任される重要な工程だ。入社したばかりの頃は、うまく磨くことができずに、関係のないところを磨いてしまったり、加減がわからずに磨き過ぎたり、何度も失敗を繰り返した。

 それでも“ものづくりは楽しい”と実感する毎日だった。「自分の手で仕上げた湯たんぽを、人はどんな思いで使ってくれるのだろう」。そう考えると、失敗してもまた頑張れた。もっとうまく製品を仕上げられるようになりたいと思った。

 石川さんは、父と母、妹と弟、おばあちゃん、そして自分の6人家族で暮らしている。自分のつくった湯たんぽを最初にプレゼントしたのは、おばあちゃんだった。「いいものを作っているんだね」と、とても喜んでくれた。次は、父と母にもプレゼントしてあげたいと思っている。

 母が子どものために湯を注ぎ、孫がおばあちゃんのために湯を注いであげる。湯たんぽは、家族の温かさと幸せを感じさせてくれる商品だと思っている。自分の家族だけではなく、たくさんの家族に使ってほしいという思いを込めて、石川さんはこれからも湯たんぽをつくり続けていく。

会社概要

タンゲ化学工業株式会社
〒453−0013 愛知県名古屋市中村区亀島2−13−13
事業内容/家庭用プラスチック製品の企画、製造及び、販売
従業員数/33名 創業/1932年