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社団法人 日本能率協会
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20代技術者の肖像 vol.02 試行錯誤を繰り返し、新技術の可能性を拓く。 株式会社不二機販  WPC処理担当  藤村敬祐さん(27歳)


WPC処理を施した刃物や部品。自動車やバイクのピストン、ギア・・・F1マシンの部品にも採用されている。部品の耐久性だけでなく超低摩擦性も実現。
 藤村さんは、この9月で入社5年目を迎える。工業高校の土木科を卒業後は、さまざまな仕事を経験。何度目かの転職で出会ったのが不二機販だった。

 求人雑誌の募集広告を見て、会社見学に足を運んだ。工場を見て「すごい!」と思った。技術者の話を聞いて、また「すごい!」と思った。ものづくりの仕事に関わった経験はない。でも、初めて自分で「やってみたい」と思える仕事を見つけた気がした。

 入社して任されたのは、不二機販が世界に誇る技術「WPC処理」。WPC処理とは、微細な金属球を金属製品の表面に高速で打ちつけることで、硬度向上や超低摩擦性などを実現する表面加工だ。F1マシンの部品にも採用されている。



WPC処理中。機械に両手を入れて、40ミクロンのショット材をノズルで打ちつける。ショット材と金属製品がぶつかる際、瞬間温度は1000度を超える。
 機械に両手を入れて、40ミクロンのショット材をノズルで打ちつける。最初は「簡単な作業だ」と思った。でも、やってみるとまったく思うようにできない。ショット材と金属製品がぶつかる際、瞬間温度は1000度を超える。ノズルの扱い方、吹きつけ方、処理する製品の回し方……すべての作業をバランス良く行わなければ、加工製品の表面にムラができる。「全然簡単じゃなかった」。作業になれるだけで2年かかった。

 どうすれば、もっとうまくできるのか。すぐに先輩にアドバイスを求めるよりも。まずは自分で考えてやってみようと思った。

 加工する製品は、大きさも形状もさまざまだ。たとえば、直径5ミリ程度の細長いピン状の製品。指先でピンを回しながら、これをどう加工していけばいいのかを、あれこれ考えてみる。どの部分を固定するか?どれくらいの速度で回せばいいか?吹きつける方向はどうするか?試行錯誤しながら、答えを見つける。



宮坂四志男社長と技術者の皆さん
 すぐに答えは見つからない。でも、自分なりに考えて、工夫してみて、「こうだったのか」と答えを発見できた瞬間は、本当に仕事が楽しいと思える。

 WPC処理は、これからまだまだ進化を続けていく新しい技術。自分がその一翼を担っていきたいと藤村さんは言う。5年前「すごい技術」にあこがれて入社をした。今、藤村さんは、多くの顧客から「すごい!いい製品に仕上げてくれてありがとう」と言われるエンジニアにまで成長した。

会社概要

株式会社不二機販
〒462-0063 名古屋市北区丸新町471番地
事業内容/機械(WPC処理・ブラスト装置)の販売、WPC処理・PIP処理受託加工、高効率光触媒PIPチタン商品製造販売 
従業員数/24名 創業/1977年